昔の日本では「専業主婦と子供2人」「夫婦同姓」家族は非常識だった!?

昔の日本では「専業主婦と子供2人」「夫婦同姓」家族は非常識だった!?

現代は「少子化・未婚化時代」と言われています。その背景には、家族観やパートナーシップの変化があります。ますます多様化する家族/結婚/パートナーのあり方について議論したシンポジウムの内容をまとめました。

パートナーシップの多様化について考えるシンポジウム

Happy business team applauding together

2016年6月7日、東京大学の伊藤国際学術センターで、第2回婚活シンポジウム「『少子化・未婚化時代』におけるパートナーシップのあり方」が開催されました。

主催は「婚活サポートコンソーシアム」。少子化に危機意識を抱くIBJや青山商事などの企業14社が集まり、日本が抱える少子化・未婚化問題の解決に向けて、さまざまな領域の民間事業が連携して取り組むプロジェクトです。

シンポジウムのメインテーマは、「『夫婦別姓』『事実婚』などが話題の昨今、今や少子化対策の足かせとなりつつある『結婚制度』はどのように変わっていくのか?」というもの。マーケティング、アカデミック、行政といった各方面の有識者を招き、パートナーシップの多様化について議論しました。

標準家庭と現実の乖離、歴史的に見ると……?

現在、メディアなどが表現する伝統的で標準的な家族像と、現実のデータには乖離があります。共働きが一般的で、出生率も1.46なのに、標準家庭は「専業主婦で子供2人」というイメージです。

メディアだけでなく、今の税制、年金、制度なども、そのような標準家庭を基に考えられており、問題となっています。

また日本の歴史を振り返っても、この標準家庭が実際に標準的だったのはごく一時期でした。近代化の中で、高度経済成長期のころなど、特殊な条件(経済成長率が高かった、人口も若かったなど)がそろってはじめて、家族・世帯の形が標準化されたのです。

それ以前の長い期間、家は経済活動を行う場であり、経済のカタチに合わせて家族のカタチも多様でした。

例えば、農業や自営業で共働きが多かったり、大正時代までは10軒に1軒くらいは家族以外の家事使用人などが住んでいたりしました。

また夫婦別姓についても、現在は「選択制は家族の崩壊につながる」と主張する人がいますが、実のところ明治時代までは夫婦別姓でした。そして明治の終わりごろ、むしろ夫の姓を名乗りたいと主張した女性たちがいたこともあり、夫婦同姓になったのでした。

多様化が進行、多様化を認める社会を築くことが必要に

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しかし、結婚を取り巻く環境は今までどおりではなくなってきています。

結婚という固定的制度が、時代にマッチしない、人によっては合わないものになってきているのは明白です。最近では、「結婚離れ」や「婚活嫌い」が取り沙汰されており、シングル親家庭、単身者など、家庭の形も多様化してきました。

これらのことから、現状の結婚制度にとらわれず、「結婚の多様化」「パートナーシップのあり方」を広い視野で認めていく社会を築くことが重要となっています。

シンポジウムでは、社会にはさまざまな価値観や背景を持った人がいることを理解し、「そういった考えもあるのか」と柔軟な考え方を持って多様性を受け入れる人が増えていってくれれば、多様性を自然と受け入れる社会になっていくのではないかと論じられていました。

そのためには、ポジティブな発言をしていくことが重要。例えば、1人1人が「結婚/パートナーシップって良いものだ」と、幸せな雰囲気を積極的に示していくことが、多様な結婚/パートナーシップを認める社会につながるのではないかと語られました。

「産む性」の負担が大きい日本

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具体的に、少子化の問題についても論じられました。

さまざまなデータから女性(産む性)に大きな負荷がかかっていることは明らかです。

都市部では、出産後に働きたいと思っても保育園に預けられないので働けない、いわゆる待機児童の問題に直面してしまいます。

仮に安心してフルタイムで働けるようになっても、今度は家事の負担がのしかかります。日本男性の家事時間は1日1時間以下と、他国に比べても著しく低いためです。このように日本は、子供を産むとペナルティが課されてしまうような国だと言えます。

しかし、男性は家事をやりたくないわけではないようです。むしろ、上司などに「男のくせに家事なんてやるな」と言われる、といった風潮がいまだに残っていることの方が問題です。ここでも改めて、多様な考え方を認められる社会になることの必要性が垣間見えます。

家事・育児の外部化など、海外の成功例は?

多様性を認めること以外には、どのような方策があるでしょうか。

例えばスウェーデンは、女性が復職・昇給もできる公務員として活躍していることが多いそうです。またアメリカでは、早い人は出産後数週間もしないうちに、子どもをナニーと呼ばれる乳母に預けて復職します。そうすることで、スウェーデンもアメリカも出生率が回復しているのです。

これらの国では、女性の力だけではなく、夫に頼ることはもちろん、家事や育児を外部化し、政府・民間から調達しているところに特徴があります。

これらの成功例を参考にして、積極的にまねしていくのがよいのではないかとシンポジウムでは議論されました。

また、セゾンカード、T&G、はたらこねっとなど、各企業による社会の多様化、少子化の時代への取り組みも紹介されました。

例えば、家族というくくりでのカード審査の見直し、保育所展開、外国人とのパートナーシップへ目を向けること、休職中でも社内の情報を共有して疎外感を減らすなど、仲間意識を継続できるようにするプロジェクト、シングルマザー向けシェアハウスなど、さまざまな取り組みが挙げられました。

いかがでしたでしょうか。今回はシンポジウムの内容をかなり端折って紹介しましたが、日本が抱える社会問題を解決していくためには、私たち1人1人がこうした問題に向き合っていく必要があるのではないでしょうか。

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昔の日本では「専業主婦と子供2人」「夫婦同姓」家族は非常識だった!?