国や自治体が婚活を推奨! 行政による支援は必要か
政府が少子化対策として、3世代住宅の建設支援など、婚活・出産を支援する政策を打ち出してきています。
地方に目を向けると、若者を地元に呼び込んで定着させようと、お見合いパーティーなどを企画・開催する地方自治体の動きも目立つようになりました。
驚くほど人気のイベントも! 地方主導の“婚活支援”
地方自治体による婚活支援の取り組みとしては、どのようなものがあるのでしょうか。行政主導ではないものもありますが、いくつか興味深い事例を挙げてみましょう。
「高知で恋しよ!!応援サイト」(高知県)
高知県の少子対策課が運営する婚活イベント検索/マッチングサイト。
高知県の各自治体で週1~2件くらいのペースで開かれるイベントを検索できて、1カ月先のイベントまで満席になるほど賑わっています。
マッチングサイトの入会費は1万円(2年間有効)、マッチングした相手との引き合わせ時には2000円かかるものの、一般的な婚活マッチングサイトと比べると割安に利用できます。
「宮コン」(栃木県)
引用:宮コン
主催は社団法人「日本街コン協会」に加盟の宮コン実行委員会ですが、地方発の大規模婚活イベントの代表格が宮コン。宇都宮市の活性化のため、市内の居酒屋・レストラン・バーを巻き込み、街を挙げて低料金の合コンを開催しています。
過去には、参加人数が2000人を超えたことも。宇都宮市内や栃木県内だけでなく、関東一円から若者が集まり、数多くのカップルが誕生しました。
「縁結びお世話人・縁結び奨励金」(大分県豊後高田市)
いわゆる仲人さんを、「縁結びお世話人」として市が公認する制度。縁結びお世話人を養成する講座を開くだけでなく、お世話人がお世話したカップルが豊後高田市に定住すると、お世話人には奨励金として10万円が支給されます!
自治体がこうした形でお金を支払うことに賛否はあるでしょうが、一歩踏み込んだ取り組みと言えるでしょう。
行政による婚活支援、8割が否定せず
こうした行政による婚活支援の動きは、概ね好意的に受け止められているようです。
厚生労働省が実施した「人口減少社会に関する意識調査」結果によると、地方自治体などによる公的な婚活支援について、「積極的に取り組むべき」(19.6%)、「ある程度は取り組むべき」(40.0%)、「最低限必要な範囲にとどめるべき」(23.6%)という回答が寄せられ、「公的な支援に取り組む必要はない」との否定派は16.8%にとどまりました。
ただ、同調査にある別の設問を見ると、「都市部から地方への移住理由」(複数回答可)として多くの人に挙げられたのは、「希望する仕事があったため」(22.6%)、「自分や配偶者の転勤など仕事の事情のため」(18.9%)、「結婚のため」(18.7%)。移住理由としては「希望する仕事」が「結婚のため」を上回りました。
また「出産・子育てのために必要なこと」を尋ねた設問では、最も多く人が「必要なこと」として挙げたのは「安定した雇用と収入」でした。
行政による婚活支援は確かにありがたいものの、それ以上に少子化対策や地方への移住推進に役立つのは雇用や収入。政府や地方自治体には、婚活支援という対症療法だけでなく、本質的な対策にも力を入れてほしいところです。