「健康ゴールド免許」という政策が検討されるようになりました。医療費抑制のための政策として登場した健康ゴールド免許とは、どのようなものなのでしょうか。
「健康ゴールド免許」とは?
「健康ゴールド免許」とは、運転免許証のゴールド免許にならって考案された制度。小泉進次郎衆議院議員などを中心とする自民党の若手議員20名のグループによって、2016年10月26日、他の社会保障制度のテーマとともに政策提言されたものの1つです。
その内容は、普段の生活の中でしっかり健康管理してきた人に対して“ゴールド免許”を交付し、医療費の自己負担額を一般の人よりも軽減するというもの。これにより、医療費全体の抑制を図ることを目的としています。
IT技術を活用することで個人ごとに検診履歴などを把握し、健康管理にしっかりと取り組んできた人を「ゴールド区分」にするそうです。
もちろん、まだ政策提言されただけなので、実現するかどうかは不明です。また、制度の細かい内容も定かではありません。
医療費抑制に健康ゴールド免許は効果があるのか?
そのような健康ゴールド免許制度の提言に対して、さまざまな批判が起こりました。主なものは次のような内容です。
- 定期検診に行くことは、必ずしも医療費の抑制につながらない
- 治療費が安くなることは、必ずしも積極的に検診に行く理由にならない
- 健康格差や経済格差を広げる可能性がある
検診自体に医療費がかかることや、人が健康になって長生きするとその分余計に医療費がかかるといった理由によって、医療費の抑制にはつながらない、という意見があります。
検診に行かない人の中には、多忙で時間に余裕がない人もいれば、自分は病気にならないと高を括っている人もいます。将来病気になったときの医療費が安くなるからといって、そういう人たちが今よりも積極的に検診に行くようになるとは限りません。
経済的に余裕がないから検診に行けない人もいるはずです。にもかかわらず、検診に行かない人に対してペナルティ的な意味で医療費を高くする政策を実施すれば、検診料を工面できる人とできない人の健康格差や経済格差を広げる可能性があります。
予防医療は医療費の抑制につながるか
検診などの予防医療が健康の維持や向上に対して効果があることは多くの方が同意するでしょう。しかし、積極的に検診を受けることが医療費抑制につながるかどうかといえば、意見や考え方が分かれるところです。
医療費の抑制はとても重要なテーマです。健康ゴールド免許というアイデアについて、しっかりと議論した上で、導入の是非を検討してほしいものです。