未婚率は右肩上がり。結婚する人が減り、少子化が問題になっています。少子化対策のため、企業にもできることはないのでしょうか。
そこで少子化に危機意識を抱くIBJや青山商事などの企業14社が集まり、日本が抱える少子化・未婚化問題の解決に向けて、さまざまな領域の民間事業が連携して取り組むプロジェクト「婚活サポートコンソーシアム」を立ち上げました。参加企業は力を合わせ、さまざまな少子化対策を講じています。
なぜ独身者が増えているのか?
日本人の未婚率は、年々上昇しています。2010年時点の男女別未婚率を見ると、女性は30~34歳で34.5%、35~39歳で23.1%です。男性の未婚率はより深刻。30~34歳では47.3%、35~39歳では35.6%となっています。
男性の未婚率が女性に比べて高いのには理由があります。それは「年下の女性と好んで結婚しようとする」傾向が強いからです。少子化の影響から若い女性の人口は減り続けているのが現状です。年下の女性と結婚できる男性は確かに存在するとはいえ、年齢を重ねるほど結婚しにくくなっていることは否めません。
データから読み解く独身のデメリット
独身でいると「転職や独立などの挑戦がしやすい」「仕事に打ち込むことができる」などのメリットがあるから、未婚でいることを選ぶ人が増えているのかもしれません。けれど一方で、独身でいるデメリットもあるのです。
独身者の主なデメリットを挙げてみましょう。
まず「孤独死・短寿命」です。単身男性の場合、既婚者と比較して未婚者より約10年寿命が短くなっています。
「不自然死」「孤独死」も他人事ではありません。単身世帯の「不自然死」のうち、約7割は男性でした。一人暮らしの無職男性が「孤独死」に直面する可能性は高くなっています。
民主党政権下で「子ども手当」を支給したように、政府は少子化対策のため、子供がいる世帯を優遇する政策を打ち出していくと考えられます。「財政・TAX」の面でも今後デメリットを感じるようになるでしょう。
未婚率が高いまま少子化を克服したフランスと日本はどう違う?
けれど、「未婚率が高い」=「少子化問題が深刻」とも言えないようです。実は日本よりも結婚率が低いのに、出生率は日本の1.41(2012年)を上回る2.01(2011年)を記録した国があるのです。それはフランスです。
日本とフランスの大きな違いは、結婚していないカップルの間に生まれた「婚外子」に対する考え方にあるようです。
日本では婚外子は望まれず、堕胎するケースがほとんどです。ところがフランスの場合、婚外子がむしろ主流。55.8%、2人に1人以上が婚外子なのです。
つまり、フランスの女性は未婚のまま子どもを産んでいるのです。日本では婚外子を否定する風潮があるため、未婚率が上昇すると少子化に直結することになります。
男性の家事・育児参加時間の短さも少子化を招く
婚外子を堕胎しがちなことに加えて、少子化対策の障害として挙げられているのが、日本人男性の家事・育児参加時間の短さです。家事・育児参加時間が短い主な原因の1つに、長時間労働があると言われています。
日本人男性の家事・育児参加時間はわずか1時間。スウェーデンやドイツ、アメリカなどと比較して極端に短くなっています。
そんな状況を問題視した政府は、2015年8月に少子化対策に関する政策提言をまとめました。その中には、「結婚・出産への支援」や「男性の育児参加の促進」のほか、「3人以上子どもがいる世帯の負担軽減」などが明記されています。
婚活サポートコンソーシアムでできること
まずは政府主導でやっと進み始めた少子化対策。けれど、政府に頼るばかりでいいのでしょうか。
企業からも、少子化を防ぐ取り組みができないものか。そんな思いから生まれたのが、婚活サポートコンソーシアムです。企業間の意見交換により初めて見えてくる社会課題に対して、「一定期間の残業禁止」や「有給休暇の完全取得」、「女性の出産と育児の両立支援」などを行っています。
また、婚活サポートコンソーシアム理事会メンバー間で「お見合いパーティー」を定期的に開催し、未婚男女の減少にも取り組む予定です。
参画企業一覧(社名五十音順)
- 株式会社IBJ
- 青山商事株式会社
- 株式会社エムティーアイ
- ギフコ株式会社
- 株式会社クレディセゾン
- 株式会社スリムビューティハウス
- ディップ株式会社
- 株式会社東進
- ビッグホリデー株式会社
- 藤田観光株式会社
- プリモ・ジャパン株式会社
- ミサワホーム株式会社
- 緑と大地の農援隊ホールディングス
- リゾートソリューション株式会社
このまま少子化が続くと、2060年には人口が9000万人を割り込み、2.5人に1人が65歳以上の高齢者になると予測されています。
「少子化が進んでも、自分には関係ない」と考えたままでいいのでしょうか。日本の活力を保っていくためにも、個人として、企業の中で、私たち1人1人が行動を起こすべきなのではないでしょうか。
引用:婚活サポートコンソーシアム