工場の夜景見学ツアーが一部で人気になる中、自治体が婚活向けにアレンジした工場ツアーが始まりました。今回は、大阪府の堺泉北臨海工業地帯を行く「高石婚活夜景ツアー」をご紹介します。
「工場萌え」を追い風に、婚活ツアーを企画
「工場萌え」という言葉をご存じでしょうか。2015年9月には工場夜景の合同写真展「行ける工場夜景展」が開催されるなど、工場地帯の近未来的な景観の美しさに惹かれる人が増えてきたことから、工場夜景を売りにした企画が目立つようになってきました。
そうした流れの中で、ここ数年、工場見学ツアーが盛んに企画されるようになりました。中でも、2012年から始まった大阪府・堺泉北臨海工業地帯の「高石工場夜景ツアー」は、その美しさから工場ファンの聖地と呼ばれるほどの人気ぶり。地元の貴重な観光資源となっています。
それだけロマンチックな夜景を男女の出会いの場としても役立てようと、大阪府高石市は地元の商工会議所と協力し、2016年11月に同市初の試みとして「高石婚活夜景ツアー」を開催することになりました。
そのツアーの内容は、25~45歳の独身男女20名ずつがホテルに集まって自己紹介、工場の夜景見学に出発し、見学後はホテルに戻って食事・フリータイムという流れでした。
工場夜景の婚活ツアー、実はカップル成立に効果的だった?
大阪の堺泉北臨海工業地帯には、石油・化学・鉄鋼・ガスなどの工場が集まっています。
作業中の工場やタンクが放つ色とりどりの光、煙突から上がる煙や炎が夜空と海に輝く姿はまさに幻想的。独特の美しさに魅了され、男性のみならず女性のファンも多いのだそうです。
そもそも夜景が恋愛に効果的なのは、科学的に証明されています。
鮮やかな色の組み合わせや強い光は脳に刺激を与え、心拍数や呼吸数を増加させることがあります。このドキドキの理由を、人間は無意識のうちに自分の近くにいる人への恋愛感情だと思い込んでしまうことがあるのだそうです。いわゆる「吊り橋効果」ですが、婚活イベントでも利用されることが多くなっています。
さらに夜のツアーというところもポイント。暗闇も自己を解放させる効果があり、暗がりの方が本音を出しやすいことが心理学的に証明されています。カップルは、明るいところよりも暗いところの方が誕生しやすいのです。
夜の工場と恋愛。一見、つながりのなさそうな組み合わせですが、都会の新たな出会いの形としてこれから広まるのかもしれません。