都会で共働きだが家計が不安。それなら地方へ移住はどう?
幸せな新婚生活を送るようになり、数カ月ほど経ったころ、急に切実さが増してくるのが新たな家庭の家計に関する問題。特に大きなイベントがない月の収支を把握できるようになってくると、「共働きを続ける必要がある」「子供を産むと教育費でカツカツになりそう」など、何となく将来の見通しが分かってくるのではないでしょうか。
「出世すれば年収アップの見込みがある」「転職することで給料が増えるかも」といった期待できる要素があるかもしれませんが、早めにチェックしておいてほしいのは、子供を育てられるだけの余裕があるかということ。幸せをお金で買えるわけではありませんが、一定以上のお金がなくては、幸せな家庭を築いて子供を健やかに育てることのハードルが一段上がることは間違いないでしょう。
子育てまで考えると家計に不安があるようなら、どうしたらいいのでしょうか。将来的にかなりの確率で収入増が期待できるのならそれでもいいでしょうが、今の世の中、先のことはどうなるか分かりません。それなら不必要な費用を切り詰めて節約してみたが、どうにも子育てに十分な蓄えをすることは難しそうだ。そう分かったとき、不安な将来を劇的に変えるかもしれない抜本的な選択肢が1つあります。それは「地方に移住する」というものです。
例えば家族で首都圏に住もうと思ったら、住宅費だけで賃貸なら月10~20万円、一戸建て・マンション購入なら4000~5000万円前後は少なくとも必要になるでしょう。それが地方に住むとなれば、家賃なら月に数万円もあれば十分な広さを確保できるようになり、戸建て・マンションも1000万円単位で安くなります。
移住するとなれば、仕事を変えることは避けられないでしょう。今よりも収入は減る可能性は高いでしょうが、住宅費だけでこれだけの金額を削れるというメリットがあります。さらに最近では、地方の市町村が移住を促進する支援策を打ち出しているため、今住んでいるところよりも、圧倒的に子育てが楽になる可能性があるのです。
移住するだけで支援金! 住宅取得で450万円、家賃2万円補助も
それでは具体的に、地方の自治体がどのような支援策を打ち出しているのか、まずは住まいに関する情報から取り上げていきましょう。
例えば茨城県常陸太田市では、結婚3年以内・50歳以下の新婚夫婦が移住してきて賃貸住宅を契約した場合、毎月2万円を最大3年間助成してくれます。同様の制度を設けている自治体は数多く、大分県豊後高田市では、40歳未満の新婚夫婦向けに市の中心部に新婚さん専用の市営住宅を用意。家賃4万円で3DKと十分な広さの住宅に5年間住むことができます。
賃貸だけでなく、不動産購入する場合にも助成金が見込める自治体もあります。北海道沼田町では、土地を購入して住宅を新築すると最大450万円の助成金を受け取れるようになっています。大分県佐伯市でも、新築住宅を購入したら100万円、中古住宅なら50万円を助成してくれる制度があります。
子供が生まれたら100万円! 小学校入学で30万円!
住まいに関する支援だけでなく、子供の出産・教育を支援する制度を整備する自治体も増えてきているようです。
分かりやすいところでいくと、北海道福島町では子供が生まれると1人目で5万円、2人目で20万円、3人目でなんと100万円が交付されます(ただし、金額の30%は町内商品券)。広島県神石高原町では1人目の子供が小学校に入学すると10万円、2人目で20万円、3人目で30万円を祝い金として支給してくれるようです。
他にも、前述の北海道福島町では18歳になる年の3月31日まで医療費が全額免除となり、和歌山県高野町には就学児の医療費や保育所から中学校までの給食費が無料といった補助が用意されているのです。
家計を支えるには何より仕事! 起業・農林水産は支援充実
ただ、冒頭でも触れたように、移住するとなると多くの人が勤務先や職業を変えることになります。気になるそうした仕事の面でも、さまざまな支援を用意してくれている地方自治体があるようです。
仕事面で支援が用意されているのは、新規に会社を設立したりお店を開店したりするケース、あるいは新たに農業を始めるケースがほとんどになっています。
例としては、新潟県長岡市は将来性があって雇用増につながりそうな事業を始めた起業家に対して、最大1000万円を補助。鳥取県倉吉市には、空き店舗を家賃5000円で提供してくれる「チャレンジショップ」という制度があります。
もう一方の就農についてですが、高知県高知市は農業に必要な技術を教える研修を1~2年実施し、その期間中に研修費として15万円を支給してくれます。富山県高岡市では、新規就農者に最大5年間、毎年150万円を提供。広島県北広島市では、農業用機械導入に最大500万円を補助してくれます。
このように、地方での生活・子育てを楽にしようとさまざまな支援策が地方自治体ごとに用意されています。けれどいくら支援があったとしても、地方に移住したら全員が全員、幸せになれるものでもないでしょう。
「地方に移住することで明らかに暮らしが楽になる」といった家計のシミュレーションができた場合、あるいは「実家がある自治体の隣の自治体だから、実家の両親からの支援も期待できる」「通勤時間が少し増えるけど、なんとか今の勤務先には通える」といったプラスアルファの理由がある場合など、あくまで選択肢の1つとして慎重に検討するところから始めてください。そして明らかにメリットが大きそうなら、現実的な選択肢として前向きに考えるようにしてみてはいかがでしょうか。
reference:いばらきさとやま生活 ,福島町で暮す人を応援します。 ,定住情報 ,長岡市未来の起業家応援事業補助金